皆さん、こんにちは!戦う税理士の小栗です。
このメルマガはゴールデンウィーク中に書いているのですが、
最近特にご質問が多いのは、
国税庁が非上場株式の評価通達を見直して
株価対策に大きな影響が出るという新聞記事を読んだが本当なのか?
具体的にはどのような影響が出そうなのか?
というものです。皆さんのお知り合いでもそのような話が出ているのではないでしょうか。
ということで今回の
「難しくてためになる話を優しく解説」するメルマガは、
「令和9年度の税制改正では自社株評価の評価通達が改正されるかもしれません」です。
これは、去る4月20日に「取引相場のない株式の評価に関する有識者会議」
(座長・佐藤英明慶應義塾大学大学院法務研究科教授)の
第一回の会合が行われたことが大々的に新聞紙上などで取り上げられたことで注目を浴びたことが原因です。
これは令和6年に会計検査院が指摘した非上場会社の株式評価の問題点が背景にあります。
その際には、「純資産評価と類似業種比準価額との差が激しすぎる」
「規模の大きい会社ほど株価は低くなっている」といったものです。
配当を意識的に抑えることで株価が正当に評価されていないといった指摘もありました。
実務でもこれらの差を利用した株価対策がいくつも行われています。
第一回目の報告書によると、恣意的な会社規模のコントロールやグループ法人税制、
無議決権株式などを利用した株式評価の圧縮スキームを問題視していると思われる記述もあります。
どれも現行法令・通達内では問題のないものですが、
「恣意的な租税回避行為」ととらえられるケースがあるということでしょう。
今まで国税側は問題のあるスキームには、総則6項の規定を使い個別に対応をしてきたわけですが、
今回の見直しでは評価通達を改正することにより対応すべきという意見があるということです。
さて、これから何度も会合を進めて意見を集約させていくわけですが、
私はどうしても納得がいかない部分もあります。
グループの資産や資金をホールディングに集約させて資産効率を高めた経営をすることは合理的ですし、
事業会社をスリム化させて経営責任を明確にしていくことも良く行われていることです。
これらの結果として株価が圧縮されたケースと恣意的に株価を圧縮させたケースを同列の通達で
一律に取り扱うことがはたして租税の公平を崩すことにならないのか甚だ疑問が残るところです。
報告書には、株価は純資産価額方式に一本化すべきとか、
継続企業や事業承継を観点からは清算価値を前提とする純資産価額方式は
不適当ではないのかといった意見も見受けられます。
結論としては、今の段階では評価が見直されることになるのか、
あるいはそのままなのか、見直されるとしたどうなるのか、など何もわかっておりません。
いたずらに情報に踊らされずに現在の法令通達の範囲内で行うことのできることを
粛々と実行することが賢明なのではないでしょうか。
これから複数回の会合を重ねていくことになりそうですが、
令和9年度の税制改正で俎上に上る可能性だけは注意を要しそうです。
また続報が入りましたら皆さんにお知らせをいたしますね。
では、次回もお楽しみに。
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