皆さん、こんにちは!戦う税理士の小栗です。
税務訴訟というのは、我々のような専門家でもあまり経験することはないのですが、
税務を勉強するうえでは無視することができないほど重要な情報です。
昨年9月のメルマガで、
「タックスヘイブン税制(CFC税制)も厳しくなってきているようです」No.990
リヒテンシュタインに財団を設立して
非課税国のバハマの法人が運用した運用益が日本国内の所得であるとして、
日本の資産家が裁判で負けたという事例をご紹介しました。
今回新しい情報が入ってきて、
なんと高裁では逆転納税者勝訴となったというのが今回の話題です。
ということで
今回の「難しくてためになる話を優しく解説」するメルマガは、
「タックスヘイブン税制の訴訟は高裁で納税者勝訴となりました。」です。
事件の背景は以下の通りです。
・資産家のAさんは、リヒテンシュタインに財団法人を設立
・財団はバハマに法人を設立(バハマはタックスヘイブン国)
・バハマの法人は公社債などで運用をし、その利益は非課税
日本の税制でも一定条件の下では、このスキームは問題なく
事実上の富裕層の節税策としても注目をされていました。
これが、バハマの所得は個人の所得だとして否認をされていたものです。
では、ポイントはどこにあったのかを検証してみましょう。
地裁では、バハマの法人を所有している財団法人を
実質的に個人が支配していると認定して、
バハマの所得は個人の所得であるとしました。
高裁でも論点は変わりませんでしたが、
・財団はリヒテンシュタイン法に基づく独立した法人である
・設立者が資金を拠出しても、株主的権利を当然に持つわけではない
・日本の信託や会社と同列に扱うのは不適切
ということで、
財団の独立性を認めて課税を取り消したわけです。
特に財団の運営の内容に踏み込んで、
実質的な支配があったのかどうかまで踏み込んで判断をしているところが注目に値します。
これで1勝1敗です。
当然、国税側は最高裁まで争うでしょうから注目です。
この判例から考えることは、
・今後、個人の海外財団・オフショア構造への課税が厳格化するだろうということです。
「形式的に関与しているだけ」ではCFC適用が難しくなるでしょう。
・ 財団・基金を利用した国際資産管理スキームの評価が変わると思われます。
財団の独立性が尊重されやすくなる一方で、実質支配があるとなれば当然課税対象になります。
今後も海外での運用をいかに有利に行うかという投資スキームは
どんどんと開発されてくると思いますが、
税制の隙間を縫ったような対策はやはりどこかで問題を含んでいるものです。
しかし、全てが認められないというわけでもありません。
慎重に検討して実行するという姿勢は常に必要だと思います。
我々実務家も、これからは国際課税の問題にも
真剣に取り組まないといけない時代になってきたようです。
では、次回もお楽しみに。
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